基本がしっかりとしていてこそ、理想を現実にかえることが出来る

『 ③基本動作や約束の確立

約束を守らせ、怠らせない。「約束を覚えられるか」ではなく、「維持ができるのか」が最大のポイントとなります。  』

今日は「約束を守り続けることは就労する中ではそんなに難しくなってしまうのですか?」というご質問へのお応えです。

 

少林寺拳法を学び始めたころに、基本をしっかりと身に付けないと、高い技術は身に付けられないぞと学び、格好の良い派手な技術よりも一つ一つの突きや蹴りの技術を磨けと習ったものです。

そんな私が武専(指導者養成機関)の教員として、各地へ指導に行きながら主に伝えているのは、攻撃よりも防御である受けの技術だったりしています。

少林寺拳法は主守攻従(守ることが主で、攻撃は完全な防御の後という教え)の技術ですから、守ることがしっかりできていてこそ、より深い技術が身に付けられるというのが、私の自論です。

なんの防具も付けていない自分のおなかに思いっきり蹴り込みをしてもらい、それを、姿勢による人体の強化で跳ね返したり、布切れのように緊張を無くし吸収したりして、物事に対する陰陽両面の取り組み方をみせ、自分の身に付けた技術を「信じる」という胆力に変えていく事を説き、その力で人前に立ち、人を説得できる力を身に付けなさいと説いています。

 

さて、先日の笠井中学校の授業で話した基本の大切さについてですが、知的障害を持った部下たちを育てるのに、一番に注意していなければならないのが、約束を守らせ、それを、維持し続けられるように見守り続けることにあるのです。

聖隷クリストファー大学からの依頼で「障がい者の就労維持」について共同研究した際に、見えてきたのは、約束事を覚えてもそれが適切な指導と管理がなされず、放置されると「粗雑化・簡略化・省略化」が起き、求められている行動が取れなくなり、その行動が定着してしまうまでに放置されると、修正が出来なくなってしまうのです。こうなると作業で機械を使っているような場合、故障だらけで作業にならなくなってしまい、品質や生産量ばかりか作業の安全性さえ確保できなくなってしまうのです。

皆さんが何かを習い始め、しばらくすると、行動が滑らかになり、上達し始めるのですが、知的障害を持った人たちには、この部分を周囲がしっかりと見守り、適切な上達をコントロールしないと、行動に対する無駄の省き方のさじ加減が理解できずに、出来ていたはず、教えてあったはずの仕事が出来なくなってしまうのです。

だから、学校教育で必要なのは「約束を守る大切さを教え、その姿勢を守って行動していく」ということを教えなければならないのです。

・能率的順序を徹底的におぼえる

・確認動作を行ないつづける

・基本的な自分の担当範囲をおぼえる

・動作で余裕が作れるように訓練

・他との互助をおぼえる

この様なことをしっかりと教え込んでいく事で戦力として育てているのです。

訓練教育では、こうした姿勢を学んで社会に出ますが、通信制の普通教育や養育・福祉的教育では学ぶことなく就労を目指すことになります。そんな状況ですから、約束は二週間も維持されず、自分勝手な行動が目立つようになり崩れてしまうのです。

二週間も実習を続けていると家庭や学校、福祉は負担として認め受け入れてほしいと考えるのですが、企業では二週間も教えているのだからもう覚えて仕事が出来るようでなければ受け入れられないということになってしまうのです。

中学校で学んでいることを、維持し続けられる力が家庭になければ維持していく事はとても難しいことなのです。

金剛禅の道院はそのお手伝いが出来ると思います。最寄りの道院を探して相談してみてください。

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